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ohne sein Empfindung -想い- 第12話

Posted by チカ on 05.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   0 comments

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前回の話はこちらから→

最初から読みたい方はこちらからお願いいたします→


第10話より咲蒼サンのブログ”アカツキのツバサ”とリンクされております。
リンク先はこちら↓
+++SAKU*SO+++fc2アカツキのツバサ
合わせてお読みください。それぞれの世界観、視点となっておりますのでご了承ください。

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第12話
-覚醒-

 

来る・・・。あの少女は帰ってくる。


ヒュームはそう思った。なぜそう思ったのかわからない。だが、少女のベガヴァーチェの気配を感じる。少女はバルベリトに殺されたはずなのに。あの少女もまた自分と同じ血が流れているからなのか、それとも魔王の血がそうさせるのかヒュームには分からなかった。

もしかして、生きている・・・??

「 ベガが死ぬわけはない。あれは魔王の子だから。この世界の礎なんだ。知ってるだろう? 」
炬魏はにっこりと笑う。その笑いもまた意味深に感じた。しばらくすると炬魏は部下達がやってきた。選ばれた悪魔しか入れない場所。それがガトリーミルデンのはずだった。だが、炬魏もその部下達も今はいとも簡単にこの場所に来ることが出来ている。それは結界が破られた証拠だった。結界は先ほど来た炬魏によって破られたのだった。

炬魏はバルベリトを王城に連れて行くように部下に命じた。バルベリトは抵抗しようとしたが施された印によってその力は封じられた。
「 無駄だ。施した印は簡単には解けない。まぁ、本来の力が出せられたら俺の部下がやられてしまうからな。先へ行け。俺は他にやることがある 」
部下は了解しましたと恭しく頭を下げ先に空へと飛び立った。

炬魏は一瞬ヒュームに視線を送った。そして優雅に翼を広げ去って行った。

 

*

 

「 ここは・・・・・? 」
先程の洞窟のような冷ややかな暗闇の空間と打って変わってどこかの部屋の中の様だった。
少年と少女はあまりにも急激な出来事に自分達に何が起こっているかまったく解らずまわりを見渡した。
その部屋は見上げる程の高い天井に、八面にある壁には鶸色(ひわいろ)の本棚がそびえ立ち、中には数々の見たこともない難しそうな本がずらりと列べてあった。そこはまるで図書館のようだった。

本棚の所々には木製のドアがついてあり、そのドアから出入りは一見困難なそうでドアが何のためにあるのかわからなかった。部屋の宙には色とりどりの大小様々な丸い玉が無数に浮いていてキラキラと光っている。その様子は、例えるなら宇宙を明るくした様で差し詰めその球体は恒星と言ったところだろう。

 この不思議な部屋の中にいる同じ年頃の少年と少女はお互い初対面なのに、どこかそんな気がしない不思議な感覚に戸惑った。
「 君は? 」
「 貴方は? 」
ほぼ同時に言葉が発せられ、更に二人は戸惑った。
「 僕はヨーク・R・アスラエル。君の名は? 」
「 わたしはベガヴァーチェ。貴方天使なの? 」
「 そうだよ。君はもしかして悪魔? 」
「 ええ、そうよ 」
どうして自分達がここにいるのか?
どうしてお互い敵対する種(天使と悪魔)、同士がここに一緒にいるのか?
そして何よりも惹かれ合うの様な感覚が不思議に思った。

「 二人共こちらのドアからどうぞ。リーノ様がお待ちです 」
そんな二人に割って入るように獣人ルジャムの声がした。
ハッとした二人は訳もわからず言われるがまま、ルジャムの案内するドアを開けた。
一瞬フラッシュの様な目を眩むような光が起こり、ドアの向こうが部屋が現れた。
「 あれ?? 」
少年と少女は目を疑った。自分の背後にいたはずのルジャムが部屋の向こうにいる。
今迄居た部屋と全く同じ風景がドアの向こうにも広がっていた。本や本棚、宙に浮いた不思議な球体が全く同じ場所であった。大きく違っていたのは部屋の中央にはリーノの姿があった。

「 私の書斎へようこそ 」
2人の顔見て静かに微笑んだ。
「 貴方はリーノ?! 」

目の前にいるリーノの微笑みを見て、少年は叫んだ。

「 どうやら君達は私と会うべくしてここへ来てしまったようだね 」
「 え? 」
少女は何の事なのか全く理解出来なかった。この人物達はいったい何者なのか、そして自分の身におこった出来事。今の自分の状態。解らないことばかりであった。
「 貴方は何者?わたしはどうしてここにいるのかしら? 」
赤茶色の瞳を輝かせ、目の前にいるリーノに問いた。それは幼いながらもれっきとした”悪魔”の表情だった。
「 私はリーノ・マハータ、君は”ある人”から君を助けるようにと頼まれたんだよ・・・・ 」
少女はキョトンとした。
「 ある人・・・?それは誰なの? 」
「 それは今は言えない 」
「 ・・・・・ 」
少女はこの世界へ来る前に自分がどういう状況だったか考えた。
自分の素性、悪魔界での出来事、徐々に思い出し、少女は急にハッとした。
「 わたし、死んだのだわ!違う!殺されたんだわ! 」
少女はその惨虐的な出来事を生々しく思い出し身をすくめた。自分は常に追われ、そして楽園を目指し力を得たためにバルベルトに殺されたことを。
「 だからここへ来たのね 」

悪魔が死んだらどうなるのか、少女は考えもしなかった。ただ動かなくなった塊だけがあの場所に留まり餌となる。そして分離された意識はどこかへ行くことができるのか?

生きることを決意した少女だったが、あの時はもう死んでもいいとさえ思っていた。

そして自分はここにいる。少女はこの場所に自分がいることを理解した。

「 そうだね。でも少し違う、、、君は生きているよ!いや、生き返ったんだ。そして元の世界へ戻らなければならない 」
そう言うとリーノはにっこり笑って手に持っていた小さな小瓶の蓋をあけ、少女の頭に1滴振り掛けた。
「 え?!何?! 」
その一滴は、水面に波紋が広がる様に少女の身体に広がった。少女の身体が気体(空気)の様な透明になり始めた。
「 君は元の世界へ戻らなければならない。ここの世界での記憶はこの”浄化の雫”によって消しさせられる。君はここで新たな”力”を得た。その”力”は君を助け、導くだろう。そして己の”運命”を知ることになる。またその時、私と会おう。さようなら、すみれ色の髪の少女・・・・ 」
リーノの最後の方の言葉は聞き取れなかった。名前の様な言葉にも聞き取れた。
少女の身体は水分が蒸発するように消えていこうとした。
「 キャー 」
声だけがかすかに部屋の中に残り少女の姿は消えていった。

 

*

 

っ?!

ヒュームは一つの気配を感じた。それは自分と同じ血が流れている気配だった。
だが、今までとは少し様子が違う。先ほど覚醒した力と別の力を感じていた。

その力は温かい光も帯びているように感じる。ヒュームはその光を静かに受け止めていた。

自分が導かなくともこちらへ戻ってくる気がした。その光を導くようにヒュームは思念を飛ばす。それは拒否を表した思念だった。
だが意思の強い想いに跳ね返されてしまったのだった。
そして光が消え、現れたのは今までこの場所にいた少女ベガヴァーチェだった。


 


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