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ohne sein Empfindung -想い- 第9話

Posted by チカ on 26.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   8 comments
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前回の話はこちらから→
最初から読みたい方はこちらからお願いいたします→
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第9話
-執着-

 ベガヴァーチェは歩き続けていた。
ヒュームと共に歩いているものの、自分はまるで暗闇の中を歩いているような感覚にも陥っていた。
そして歩くたびに痛みが増してくる。足にはまめができており、つぶれて血が滲んでいた。
自分の翼が使えたらどれだけ楽だったのだろう。だがそれは考えるだけ無駄な話だった。
隣には魔獣が寄り添うようについて歩いている。獣は何かに気付いたのか歩みを止めた。何かに誘われるように集まってきた蟲達。透明だったはずの羽は緑色に光りだしている。そしてその蟲達は少女の周りを囲んでいた。少女の体は固まった。
「何、これ……? なんで蟲が!?」
 蟲達は以前見た種類の蟲と同じ物だった。自分の心を狙って集まってきたのだろうか?
蟲は刺激を求めてやってくると言った。自分にも心があると言った彼はここにはいない。
少女は持っていたナイフを振りかざす。が、そんなものは無意味だった。
少女の手に持っていたナイフも蟲達によって粉になっていく。ベガヴァーチェは地面を蹴って駈け出した。蟲は少女を追いかけ周りを囲った。少女が足につけているアンクレットが光りだし、そして更に蟲達の羽の輝きが深い緑色に増す。獣が体当たりしようとしたが、みるみるうちに緑の光に覆われていった。
「っ?!」
 逃げられないっ!!そう、少女は思った。
緑色を放つ蟲達は次々と襲いかかった。少女の胸は貫かれていった。
「きゃあぁあああああー!!」
 深々とする森の中で少女の悲鳴だけが響き渡ったのだったー。

*

「……??」
 少女は目を覚ました。眠っていたのか、気付くとさっきまでいた場所とは風景が違っていた。
周りは木で囲まれていて、水があり老朽化した建物がある。風が心地よく吹いており木々の葉が散っていく。だが、こんな場所でも人の気配を感じない。むしろ静まり返っていた。
少女は自分が置かれた状況に理解できないでいた。
自分は蟲に毒されたはずだった。しかし体には外傷はなく痛みも感じない。
「起きたのかい?」
「ヒューム……? ここは、どこ……??」
 それまでいなかった彼も今は少女の顔を見つめている。
「アハハっ。そんな記憶喪失みたいなこと言わないでよ~」
 見覚えのあるようなないような、だけど懐かしい……。一体ここはどこなのだろうか。
少女の頬に雫がつたう。ベガヴァーチェはわけがわからなかった。
「君はもう、気付いてるんじゃないの??」
 気づいて……??
「ガトリーミルデン。それがここの場所の名前。おめでとう~」
 ここ……が?? 誰もいない。まるで絵本の中のような感じ。そして……。
「僕の案内もここまでだね。君もここでおしまい」
「どういう……こと?」
「いやだな。まだ気づかなかったなんて。夢で何度も見てたんじゃないのかい?」
 夢……。夢とはどんな夢だっただろうか。そして自分はどうやってここまで来たのか覚えがない。
覚えているとしたら毎日繰り返し見ている夢に出てくる少年だ。
もしかしてここも夢なんだろうか。そんなことを思っていた。
ひょっとしてこの男が自分を連れてきてくれたのだろうか。
「そうだね。僕がここまで連れてきた。あの蟲達を振り切って。ガトリーミルデンはここにあってここにないもの。翼があるから来れるというわけじゃない。楽園なんて呼ばれてるから同族に狙われる。いや、同族だけじゃないけどね」
 ヒュームは懐かしそうに寂しそうに語り始めた。
「ここには人が住んでいた。役目を終えた悪魔達が。選ばれた者しか来れない楽園とはそういう意味があったんだよ。でもある日、黒銀の髪を持つ孤高の悪魔がやってきた。そしてこの楽園を焼き払った。楽園にいた一族は死んだよ」
「それってー」
 少女は一人の人物が思い当った。魔界を統べる王、自分の父のことではないのか。
「そう、君の父ベルゼブルだった。でも生き残りが数名いたんだ。だけど僕の腹違いの姉ベアトリーチェは連れさらわれ魔王の花嫁となってた。悪魔や天使にはない力を持っていたからね。そして君を生んで死んだ。残された僕は裏切り者の弟としてここにいたってわけ。少年だった僕は毎日苛められていたよ」
「……っ」
「君は見ていただけなんだ。ずっと。そうやって感情を殺して。自分を悲劇のヒロインにして、何も知ろうとしなかった。僕はずっと呼びかけていたのにね。何も出来ないと諦めて。何も気付いてもくれなかった。ここはいわば君の故郷、ここにくれば心を戻してこの楽園も元の綺麗な場所に戻してくれると思ったけど、どうやら無駄だったようだね」
 ヒュームは淡々と喋り続けた。少女を責めるような顔でみながら。
「わたしは……、何も出来ない。わたしの居場所はここでもないー?」
 やっと辿り着いた楽園さえ自分の居場所ではなかった。それなのにこんなにも懐かしいのになぜなんだろう。
そしてこの男はそれよりも楽園を滅ぼした王の娘の自分に何を期待するのか。
「……もう、いいよ。君も所詮あの残虐な王の娘だ。何も出来やしない。僕も期待しない」
 そう言い放つと男は指を鳴らした。すると少女の体から大量の蟲が現れ出した。
痛みはなかったが気が遠くなり始めた。そしてまた意識を失ったのだった。

*

 頭の奥で高らかに笑う声が聞こえる。血を求める同族達の声。
同族の塊。大量に湧いて出てきた蟲達の屍骸。
 あの笑い声には聞き覚えがある。そしてあの菫色の髪をした小さな姿。自分の身体は熱っぽく気だるい感じがしたが、歓んでいる。
そう、何故だかわからないが歓びを感じていた。生ぬるい温もりを肌で感じ、何かが煮えたぎっている。
違う―。そんなはずはない。
そして……、少女は目を疑った。蟲達の死骸の上には獣の塊があった。

 っ!!
「ああ、ようやく目を覚ましたようだね。それにしても良く寝る子だなぁ」
 ヒュームはベガヴァーチェを見下ろした。何が起こったのかわからなかった。ヒュームの話を聞いた後再び蟲に毒されてー。少女は辺りを見回した。そして驚愕した。今自分が夢で見ていた光景あった。
「どうして……っ。どうしてっ!!」
 少女は小さな両手でヒュームの胸倉に掴みかかった。

「すべてお前がしたことだ」
 聞き覚えのある声に少女は身体を震わせる。
「バルベリト……」
 追いついてきた。やはり追いつかれていたのだ。狙われているとはわかってはいたものの、いざ目の前にすると愕然とする。バルベリト自らここまでくるとは。
「お前がこの惨状をもたらした。」
 自分がやった……? そんなものは信じない。バルベリトがやったのではないのか。
 わざわざここまできて自分をまた捉えるために。
「信じられない……か? ではなぜお前のその手は血で塗れている? その身体に飛び散った血は。傷で身体が痛むか。あれらを相手にしたときの快感はなかった……か?」
 男に言われ、ベガヴァーチェは両手に目をやった。そう、同族たちの血で穢れている。
少女は被りを振った。
「ちがうっ! そんなものっ、そんなものっ!!」

あの高らかに笑っていた声、あれは確かに自分のものだった。愉しんでいた?

-違うっ!!

好意を寄せていた獣まで殺して、やはり殺戮を楽しむ悪魔……

-違うっ、違うっ!!

この屍の温もりもまた暖かく血が煮えたぎる

やめてぇーーーーーーーーー!! わたしは何もやってないっ! 何も望んでないっ!!

「だが、お前がこの惨状をもたらしたことには変わりない」

-っ!! いやぁあああああああぁぁぁぁぁ!!

 途端ベガヴァーチェの体は光り出した。体から放出された光は炎へと変わる。
少女の体は炎に包まれ黒い翼も光っていた。そして空へ飛び立ち、その光はバルベリトを狙っていた。
「ふん。たかだかこんなことで開花できようとは。まぁ、いい。これでこの世界は俺のものだ。ふふふ。あははははっ!!」
 バルベリトは手を翳(かざ)した。手に集まった光は少女へと向けられた。
彼を襲った光は少女へと跳ね返り、少女は暗い闇へ堕ちていったのだったー。


おおおおおおおおおおおおお(*´Д`*)?
久しぶりだぁ(*´Д`*)?
ずっとどうなってるのかな?って気になっていたので、一気に読んでしまいました。
謎のヒュームと夢と悪夢の狭間のような出来事がとてもミステリアスですが、やっとたどり着いた筈の楽園での煉ちゃんに与えられた宿命・・・みたいなのが切なすぎる><
心の優しい子なだけに、背負ったものの重さが酷すぎますTT。
でも芯の強い煉ちゃんならきっと・・・。
・・・ってバルベリドは一体煉ちゃんに何をしたんだ??煉ちゃんーー??
2010.02.26 08:41 | URL | はるなつ #79D/WHSg [edit]
はるなつサン。
ホント久しぶりすぎますよねー。気になってくださってありがとう~。そして読んでくれてありがとうデス。嬉しいデス~ヽ( ´¬`)ノ  ヒュームは実は楽園の住人だった?!みたいなことにvv ワタシの物語構成ってわけわからないから正直不安だったりー^^;
でもはるなつサンにコメいただけて嬉しいv
・・・ホント、女の子というか少女にここまで試練というか宿命を負わせてしまうワタシってどんだけ鬼畜っ>< 可哀相デスよねー。常に死亡フラグたってるし、どうしようもない親ダー。でもでも可愛い子には旅をさせろっていうしー(させすぎ
このまま一体どうなってしまうんだ?!でも次回は・・・vv
バルベリトもねー、少女相手にナニするんだといいたいデスー><
2010.02.26 09:20 | URL | チカ #79D/WHSg [edit]
前の話読んでませんが、結構じっくり読ませていただきましたw
バルベリトさんはベガヴァーチェと遊んで楽しそうだw
2010.02.26 14:04 | URL | もかな #79D/WHSg [edit]
ベガヴァーチェがいつまでも辛い状態なので、切なくて涙がでてくる~。゚(゚´Д`゚)゚。
周りの鬼畜キャラが(特にヒューム)チカさんにしか出せない独特なキャラで、好きですw
表面ではゲームを楽しんでるような生意気鬼畜キャラなんだけど、実は過去や影に切ない想いがあるような・・・(*´д`*)
2010.02.26 15:28 | URL | キュキュ #79D/WHSg [edit]
チカちゃんの沈黙がちょっと気になっていたんだけど、この更新だったのねーーー!(いやだからゲームやってたんだってw)゚+.(ノ。・ω・)ノ*.オオォォ☆゚・:*☆遂に煉樺ちゃんの力が覚醒?して…しかしまたもやピンチに?!どうなるんだー次が楽しみでなりませんよーー!!!
それにしてもキュキュさんのコメにはワロタwチカちゃんにしか出せない鬼畜キャラwwwwそういえばそうだwww(妙に納得w)
2010.02.26 18:34 | URL | 咲蒼 #79D/WHSg [edit]
↑ね~w(≧∇≦)b だからチカさんって悪魔キャラ描かれるのが、すごくすごく上手いんだなぁ~って、思っちゃったんだ!
2010.02.26 18:39 | URL | キュキュ #79D/WHSg [edit]
もかなん。
読んでくれてありがとーヽ( ´¬`)ノ  話としては全然進まない感じなんだけど、意味わかったかなぁ^^; バルベリトは、煉樺への執着がスゴイデスよねーvv の割には自分が出てこなかったけど。遊んでる・・・ ブハっv ベガとじゃなくベガで遊んでるようにも?!いや、本人必死だな。きっとvv
キュキュサン。
読んでくれてありがとうゴザイマスーっ!!
ホント始まりから今までずっと辛い状態デスよねー。なぜここまで出来るのか不思議だわ。
普通なら死んでるよー。関係ないデスが、昨日深夜やってるAKBの学園戦闘物をみて拒否反応を起こしてしまいまして>< 女の子が血を流して戦ってるの。ちょっとイっちゃってる感じで。女の子が血を流すシーンって見ていられないよね。。。で、この状態って救いようがないかもとワタクシ反省orz(遅いっつーの 実写はキツい。
( ´∀`)ヵヵヵ 確かに鬼畜キャラデスねー。そんなつもりは実はなかったけどvv 影のある生意気キャラにしようと思ってた。 イロイロ想うところはあるんでしょーね。感じとってくれてありがとう~!!うぇvv 悪魔キャラ描くの上手い?!うはー><
嬉しいお言葉ありがとうデス~(ノ∀ ̄〃)
2010.02.27 09:46 | URL | チカ #79D/WHSg [edit]
咲蒼サン。
読んでくれてありがとデス~。そしてコメもありがとデスっ!!
そうだったのデスっ!!次の更新は絶対小説にしようと決めていたのデスよー。
浮気はしないと心に誓い・・・ うん?ゲームに浮気してませんよっ!!
乙ゲーに飢えてたわけじゃ決して・・・(笑) 
そして物語構成に物足りなさはー(わかったっての!
遂に!!デスよー。やっとここまで来ましたよー。更新が遅いから更に長く感じますよね^^;
ピンチの状態が何回もあるわけだけど、一体どうなることやらー。
鬼畜キャラ・゚・(ノ∀`)・゚・ 鬼畜キャラ設定vv なぜだか似たような感じになりますーvv
2010.02.27 09:53 | URL | チカ #79D/WHSg [edit]


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