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Ohne sein Empfindung -想い2部- 「策略」

Posted by チカ on 03.2012 *Roman(小説)* -煉樺-   0 comments
はぃー、長らくお待たせ―って待ってないか。
一年以上放置していたので内容なんて覚えてませんよね^^;
ワタシが覚えてなかった…ことはないんデスが、ちょっとだけ前回のあらすじを。

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【あらすじ】
1部で覚醒し感情を取り戻した少女煉樺。
外に出ることを禁止されていたがある日、
牢から逃げ出した(自分の命を狙っていた)バルベリトを捕まえ処刑することを父から命令された。
さて、どーする!?

第一部は目次よりお願いします→
前回の話はこちら→
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第二部

第2話
-策略-


 薄暗い暗闇の中、一人の男がいた。部屋にはライトが備わっているが、つける気はない。
異質な空気があったが、それはこの部屋のせいではなかった。男はふと何かに気づいたかのように窓の扉を開け、バルコニーに出た。生暖かい風が部屋に入って来たが、悪くはない。
空を見上げると黒雲が低く立ちこめていていた。そして空に向かって呪文のような言葉を口にした。
それは誰にも解読不可能な呪文だった。もっともここには今は誰もいないわけだが。
 すると黒雲から勢いよく黒い塊が飛び出し、男めがけて一直線に向かってくる。男は表情一つ変えもせず、それが当たり前だったかのように何もしないで立っているだけだった。
黒い塊はみるみるうちに男の身体を取り囲み覆って行く。中の物などお構いなしにただ覆うだけだった。
男自身が黒い塊になったかと思った時、弾け飛んだ。黒い塊は無数の小さな蟲の集まりであった。男は一言言葉を発すると蟲は空へと消えて行った。

 しばらくして一つの足音が聞こえてきた。気が立っているのかそのリズムは速い。
扉に近づくと勢いよく部屋に入って来た。
「どーいうことよっ!!」
 ヒステリックに声を発したのはオリーブ色をした長い髪の女だった。形のよいスマートな身体で服装は布が少なく肌があらわになっている。布地が多い服は彼女は好かないようだった。
「メーニャ様、どうされたのですか?そんなに慌てて」
 男は窓の外の景色を眺めていたが声の主に振り返り答えた。
「バルベリトが捕まったって聞いたわ」
 女は男に詰め寄った。
「ああ」
 男は短く答えた。一時期仲間になったことがあったが、今となっては大して興味も沸かない。
 バルベリトとは王の娘を使って自ら魔界の王となろうとしていた男だった。そもそも悪魔が悪魔を喰ったからと言って力を得るわけではない。あの王に踊らされていたとも知らずに見事にシナリオ通り動いて捕えられてしまった。
あれも哀れな男だと心の中でつくづく思った。

「そもそも貴方があの男に吹きこんだんでしょ?! あの少女の力を得る方法を。バルベリトが捕まったのはすべて貴方の策略だって言うわけ?!」
「まさか……。動いていたのは炬魏様だったんでしょう?だとしたらバルベリトの考えなどとうに気づいていたはず。それを知って泳がせたのは炬魏様ですよ。何しろ王の第一の息……」
「そんなもの! 私だって王の娘よっ!!」
 男の言葉を遮るように女はヒステリックに地団太を踏んだ。これだから女は面倒だと思う。感情に身を任せて言葉を発する。そんな生き物に何の価値があるのか。
「お言葉ですがメーニャ様。王が子として認められていらっしゃるのはあの三人のみです」
 メーニャは男のその言葉にカッとなった。
「そうよ、知ってわよ。そんなことっ! ヒムロに言われなくったってね。未だに名を与えられない私には何の興味もないことぐらい。王に新たに名を与えられ初めて子と認められる。それがあの双子の兄とベガなのよ!」
 メーニャは顔を両手で覆い泣き崩れた。本当に悪魔と言えど女は面倒だとヒムロは思った。
「彼の事は忘れましょう。元々王になる器ではなかったのですよ。あの少女が覚醒した今、やるべきことはあの煉樺と名付けられた少女を殺すこと……」
「でも、私があの子を殺したら父様は……」
「大丈夫ですよ、メーニャ様。貴女も王の娘なんですよ?あの少女がいなくなれば王もきっと貴女を娘として迎えるでしょう。貴女がこの世界の相応しい王女様ですから」
「そうよ! そもそもあの少女の成長を止めろと私に命令したのは言ったのは他でもない父であるあの王だったのよ?」
「そうですね。メーニャ様は身体の成長を操ることができますから」
「だから私はてっきりあの子の事、見放してるものだと思ってたのに……。あんな出来そこないに産ませた子供なんてっ」
「それこそ王のお考えだったのでしょう」

 そう、あの少女は楽園の女王の娘。王がその娘を手放すわけはないー。生粋の悪魔が辿りつけない場所、なりそこないの楽園。失われた土地と呼ばれた場所に住んでいた女王に何の用があったのかは分からないが、何か理由があることには違いなかった。

「じゃあ、ヒムロ。あの餓鬼を始末する方法でも考えてるっての?」
「あの少女が覚醒した今、簡単にはいかないでしょうね」
 それに……、少女の兄である炬魏がついている。
「あ、そうだわ! 朱魏を仲間に入れればいいのよ」
「朱魏様……ですか?」
「そう! あいつベガを憎んでるって聞いたわ」
 朱魏が少女に憎悪を抱いている言う話はメーニャ以外に誰しも知っている有名な話だった。母親に危害を加えることはなかったもののその噂は広まっていた。
生粋の悪魔でいることを誇りに思っているようで、なりそこないという存在は赦せないのだろう。
しかし、あの男は王に忠実だ。男はしばし考えた。
「朱魏様も敵に回すと厄介な存在ですが、彼は誰にもつかないでしょう。ですが彼がこちら側につくのならばやりやすいかもしれませんね。わかりました、彼は私が引き受けましょう。王女はあなた一人で十分ですから。メーニャ様」
 ヒムロはメーニャの左手をとると口づけた。
「期待してるわよ、ヒムロ」
 
 その言葉に安心したのかメーニャは笑みを浮かべ、部屋を出て行った。
 彼女がいなくなると、ヒムロは手に持っていた黒い布で唇を拭い取り床に放り捨てた。


Ohne sein Empfindung-想い-  第二部「命令」

Posted by チカ on 22.2011 *Roman(小説)* -煉樺-   2 comments
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やっと始まります第二部。未完のまま終わらないように頑張りたいと思います(苦笑
第一部は目次よりお願いします→
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第二部

第1話
-命令-


 あれから幾日経っただろう。王である父との再開を果たした後、少女は部屋から一歩も出ることはなかった。
すぐにでも王からの用を言いつけられるかと思っていたが、そうではなかったようだ。
煉樺はため息交じりに天井を見上げた。そこは以前いた牢屋のような部屋ではなく、天井には明るい装飾が飾られていた。
王の見立てなのか、兄の見立てなのかはわからなかったが居心地は悪くない。
手にしている本を見降ろし少女はもう一度深いため息をついた。退屈しのぎに持ってきてもらった数十冊の本もすでに読み終わっている。創世記の物や、悪魔や天使の物語。そして人間界の本やさまざまだった。本を読むことは好きだったが、この閉じ込められた状態は以前のバルベリトに囚われていた時と変わらないような気がしていた。
そして本に添えた手に視線を向けた。それはまだ幼い手だった。
牢屋とも言える場所にいた時は時間の感覚などなかった。気にしても仕方のない事であったが、往く時時間が過ぎ去っていたのだろう……。ふと疑問に思う。眠っていたわけでもないはずなのに。
すると心の奥で何かが引っかかった。だがそれはすぐにかき消された。

「新しい本でも持ってきてもらった方がいいかも」
積み重なった本を見つめ、そうつぶやいた。
 すると扉の向こうで、人の気配を感じた。一見穏やかそうな気配を漂わせているが、周りの空気は少々物々しい。煉樺は構えた。
「久しぶり、煉樺。ここでの生活にはもう慣れたか?」
 扉を開けるとそこには兄の炬魏が立っていた。煉樺はほっと胸を撫で下ろした。
「なんだ、炬魏か。なんだかわたし、ここでも閉じ込められててつまんない」
「そうだろうな。でも仕方ないさ。まだ狙われてるかもしれないんだから」
「狙われてるって……、バルベリトは捕まえたんでしょ?だったら…」
「煉樺は可愛いから狙われやすいんだ」
 炬魏はそういうとにっこり笑い、煉樺の頭を撫でた。
「なっ!?わたしは別に可愛くないもんっ!」
 煉樺は顔を真っ赤にして頬を膨らました。そんな少女を炬魏は可愛いと連呼しながら頭を撫でた。
するとその手を少女は振り払った。炬魏は動きを止め、少女の顔をじっと見つめた。
「そんな可愛い妹に王からの呼び出しがあった」
「呼び出し?わたしにお仕事??」
「だろうな。よかったな、煉樺。ここから出られるぞ?早く行って来い。王を待たせるなよ?」
「うん……」
 煉樺は緊張した。再び会うことになる父にいまだに慣れない。
自分の父がこの世界の王だからなのか苦手意識を持っていた。しかし父を待たせるわけにはいかず、急いで謁見室へ行こうと走り出そうとした。そして炬魏に呼びとめられる。
「なあに?」
「あいつもいるだろうけど、気にしなくていいからな」
「あいつ??」
 あいつとは誰の事なのだろう。聞こうと思ったが、答えてくれない気がした。
それより急いで王の元へいかなければならない。煉樺は冷たい石畳の上を走りだした。

 長い石畳を抜けると突き当りに大きな扉があった。以前ここに住んでいたおかげか迷うことはなかったが、どこかの神殿のように広い城だった。神殿……??なぜそう思ったのだろう。
不思議に思いつつも王のいる謁見室の扉を開いた。
ギイイィという扉の音が周りを反響させた。
部屋の中には重重しい空気が流れていた。その空気を発している人物は少女の姿を目にすると一瞥した。
煉樺はぞくりと背中に筋を感じた。自分と同じ瞳をもつ人物だが、まるで存在感が違う。男は興味なさそうに顎をしゃくる。
 自分から呼んだくせに。
 そう煉樺は心の中でつぶやいた。男は少女から目をそらし、ようやく口を開く。
「バルベリトが逃げた。追って処刑せよ」
 一瞬身体が凍りついた。少女は黙りこくったまま肩を震わせた。
「何故戸惑う?お前の命を狙った者だ。もともとあいつはお前を狙っていた。自分の事は自分でケリをつける。当然のことだろう」
 男は少女を見ない。いまいち感情が読めず俯いていた。
「わたしは何も知らなかった……」
「知ろうとしなかったの間違いだ。お前は今もそれを続けるのか?」
「っ!だからってっ!!」
「聞こえなかったか?バルベリトを処刑せよ。俺はお前に命令した。以上だ、下がっていい」
「………」

 知ろうとしなかった…
 その言葉が深く胸に刺さる。それは楽園のもう一人の生き残りのヒュームの言葉だった。あの青年はあの場所で一人で過しているのだろうか…?そして王の側近であったバルベリト。魔王の娘である自分を狙っていた。
自分を殺そうとした者だ。ひょっとしたらまだ自分を狙ってるのかもしれない。
 だけど……。
「……お前はここで生き残れるのか?」
 口を開いたのは今まで自分を突き刺さるような瞳でずっと見ていた赤い髪の男だった。炬魏と顔が似ていたが、始めて見る顔に煉樺は戸惑った。口を開こうとしたが、男はそれを無視するかのようにさっさと謁見室を出て行った。
安住の地を求めて何が悪いんだろう……。でも守られるためにここにいるんじゃないのは確かだ。
”狩り”ふとそんな言葉が頭に浮かんだ。自分の事は自分で始末する。それは当然のことだと自分でも思う。
しかし……、果たして自分に出来るだろうか?冷たい風が流れる廊下で少女は佇んでいた。



【番外編】ohne sein Empfindung

Posted by チカ on 29.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   4 comments
このお話は小説【ohne sein Empfindung -想い-】の番外編の話となっております。
BLのゆるい(?)エロありなので苦手な人は読まないでくださいね?
大丈夫な方は続きからどうぞ




ohne sein Empfindung -想い- 【人物紹介】

Posted by チカ on 11.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   2 comments

  -Ohne sein Empfindung-

【登場人物紹介】



 煉樺
【煉樺】
ohne sein Empfindung -想い- の主人公。
幼少時の名前はベガヴァーチェ。 魔界の王を父に持ち、この世界の礎とされているため命を狙われている。
悪魔としての能力はなく、無感情。バルベリトに幽閉されていた彼女だったが、城から脱出し、謎の青年(?)ヒュームと共に楽園を目指すこととなる。
咲蒼サンとのコラボではツバサクンと恋人(になるハズ?!)

 

 

 ヒューム1

【ヒューム】
楽園ガトリーミルデンへの案内者。ベガヴァーチェ(煉樺)と共に旅をすることとなる。
笑顔を絶やさない。時折不可解な行動を起こすことがあり、今一信用出来ない。
 

 
 バルベリト1

【バルベリト】
魔界の書記官を務める。残虐非道かつ短気。殺人狂でもある。
ベガヴァーチェの力を手に入れ、魔界の王に君臨しようと企んでいる。
自分の力を過信している。
 

 炬魏

【炬魏】
ベガヴァーチェ(煉樺)の兄。王の右腕として働いている。
陰ながら妹のフォローをしている。
 
 
 朱魏
【朱魏】
炬魏の双子の弟でありベガヴァーチェの兄。
残虐非道の快楽主義者だが、王に対しては従順。
のちにベガヴァーチェの秘密をしり、妹を狙うこととなる。
 
 
 ベルゼ
【ベルゼバブ】
魔界の王でもあり、ベガヴァーチェの父でもある。皇帝とも呼ばれ、その力は魔界を滅ぼすほどと言われている。
必要な事以外は話さないため、周りのものは彼の真意を図り知れている。





ohne sein Empfindung -想い- 【後記と反省】

Posted by チカ on 09.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   2 comments
皆さま、【ohne sein Empfindung -想い-】を読んでくださってありがとうございましたーっ!

3年以上の時を経てようやく完結を迎えることとなったのも今まで見捨てずに読んでくださった方々のおかげだと思っております(´д`*)



ワタクシこれでも文章を書くことはスキなのデスけど、小説を書くのは苦手という感じでしてー。

ブログを読んでいる方は気付いていらっしゃるかもデスが、貧困脳なのデスよね。。。ワタクシ。

言葉が上手く出てこないというか・・・。

本を読むのがスキだからと言って小説を書けるかと言ったらそうでないし。

ようは文章をよく読んでその場の情景を妄想して理解することだと。

比喩表現が書かれていればそれは覚えるしかないし、自分のものに生かす。

これが重要だとどっかで読んだ気がするなぁ(ウケウリかよvv

ワタシの場合文章構成がなってないというか、、、でもこれはまぁ なんでも言えることだと思いますけど練習あるのみかと。

文章も絵も書かなきゃ上達はしないし、またそれを見てくださる方がいないとやる気がでない。

次に繋げることって出来ないと思うのデス。

なので、読んでくださってる方は本当にありがたいなぁと思うし感謝感謝デスよー。



サテ、この【ohne sein Empfindung -想い-】デスが”ohne sein Empfindung”はドイツ語で無感情という意味を表しています。

煉樺(ベガヴァーチェ)がいる世界は悪魔なので当然、魔界と呼ばれる場所で荒地と湿地帯が続いています。

ただ、ベガヴァーチェが父の元にいた城の周りは開拓されていて住みやすくなっています。

比較的楽園に近い?空気も浄化されていたりします。

お父サン、綺麗好き(笑)

ただ、大半の悪魔はそんなもの気にもしないので周りが異臭だらけでも住んでいることでしょう。

それが普通ともいえる。。。

そしてベガヴァーチェがバルベリトの元にいたわけ、攫われたと本人は勘違いしていますが実は父ベルゼバブが託したのデスよ。育児放棄ダー!(ぇ゛v

悪魔の王を父に持ってるので力は兄に匹敵(それ以上かな?)します。

が、能力の開花はなかなか出来なかったので王がバルベリトの元に託したというわけデス。

何かしら変化があると見たわけデス。その頃からもともと感情が豊かではなかったのデスが、バルベリトの元に行ってからは彼の残虐行為で更に無意識に心を閉ざします。自分がナニも出来ないのでね。



ナゾの男(青年?)としてベガヴァーチェを唆したヒュームデスが実は楽園ガトリーミルデンの生き残りだったわけデスが、彼もまた悲しい過去の持ち主だったわけデスねー。

ワタクシ、実は自分のコト、僕とかいうキャラってホントはダメなのデスよ(;´∀`) 

なのにそういうキャラが多いといふ・・・。

炬魏の部下だったわけデスが、一族の敵の息子にどんな思いで仕えていたんでしょうねぇ。

そういう点ではベガヴァーチェに対しても複雑な思いだったことでしょうねー。

そこらへんの情景やら心理描写を書くと長くなるのでカットしましたけど。

あくまで主人公は煉樺だしー。

まぁ、機会があったら番外でも・・・。いや、言ったら書かなきゃいけなくなるのでカットで(ぉぃ

そもそもワタシ詰め込み過ぎとナゾを作り過ぎなのでね。おさえましたよー。



主人公が死んで終わりーなんてことにはなるはずもないのデスが、運命の出会いが!!

咲蒼サンの方のお話にリンクしております。そもそもツバサクンとの出会いに至るまでの話だったりするものなのでv バルベリトに狙われてヒュームに利用され楽園に行っても感情が戻らなかった少女デスが、ツバサクンとの運命の出会いによって力と共に戻されます。リーノサマが命の恩人?

煉樺は元は感受性が豊かなので、同族の感情をエンパシーで感じていたのデス。

その中でも一際気になる存在が少年(ツバサクン)だったわけデスけど、ヒューム(同士?)が近くにいたせいで混乱気味に。バルベリトに殺されてもう一人の少年の声に気付いたというわけデス。

覚醒後は感情が戻り自分の強い意志を持ち始めたというわけデス。



それから挿絵はなかったわけデスが、イメージ絵としてはちょこっと描いていたりします。

バルベリトに囚われていた煉樺ということで・・・。

file2746190.png



そしてこれがー、獣と共に旅をしているというイメージ。

あくまでイメージデスもの~。翼使えないし、獣ももっと大きいデスから。これは幼獣

image8903061.jpg





そして背景練習に描いた絵がこれだったりします。

楽園で踊ってるような感じではありますが、生命の踊り?みたいな。。。

とは言っても蘇生術なんてもの悪魔には使えないし、煉樺も当然使えませんよーvv

反魂の術ならダレか使えるかもしれませんがvv 死霊魔術使いがいればねvv

image1841455.jpg



・・・っとまぁ、三枚とも胸大きいし(笑) 幼少時ではないんデスけどねー。

イメージを固めれば小説も書けるだろうと思って描いたもの。

結局こんなに時間がかかってしまったといふ。。。ごめん><



今後の予定としましては、ボチボチと始められたらいいなぁと。

4月からはコラボの方にいけたらなぁと思っていますが、小説も書きたいなぁと。

でも書きはじめたら終わらなさそうだしね^^;

ショートでも書きたいとも思いますが、ワタシの場合ナゾ作りで墓穴掘っていくタイプなので。。。

精進します><



ここまで読んでくださってありがとうございましたっ!!

今後ともぜひお付き合いくださいー。よろしくお願いします。







ohne sein Empfindung -想い- 最終話

Posted by チカ on 07.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   4 comments
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第13話
-想起-
 
「 わたし……、今までどうして……?? 」
 虚ろな瞳でキョロキョロと辺りを見回す。しかしその目にはしっかりとした生気がみられた。
そして近くにいたヒュームに気付き言葉を交わした。
「 わたし、生きてるの?どうしてー?? 」
「 君が何故生きてるのか僕にはわからないよ 」
 少女を一目見、肩をすくめる。
自分が行った行動も忘れているかのような言葉にヒュームは罪悪感を感じているかのようだった。
「 ……なぜ戻ってきたの?あのまま消えていなくなっていればよかったのに 」
 その顔は今まで見ていたヒュームの寂しい顔だった。
ベガヴァーチェはそんなヒュームの顔を見つめ意地悪そうに言った。
「 ヒュームに仕返しをしに帰って来たといったらー? 」
「 ……そう。それもいいかな。君は覚醒して力を得た。僕を殺すことなんて造作もないよ。あの塊達のようにー 」
 ベガヴァーチェは目を大きく見開く。そしてー

パシっ!!

 ヒュームの頬に小さな掌が当たった。何が起こったのか一瞬分からなかった。
「 ……そうよ。あれはわたしがやったの。でも、ヒュームだってっ!わたしのこと知らなかった!何もしなかった!わたしだってっ、わたしだってっ!! 」
 少女からは嗚咽が漏れる。少女の顔はみるみる赤みを帯びて行く。
ヒュームは驚きを隠せなかった。それは少女から見る初めての感情だった。
「 本当はあれはわたしがやったなんて思いたくない!!とっても苦しいっ。でもわたしにはやることがある、だからここにいる。そうでしょ?! 」
「 ……君に何ができるの?まだ少女の君に 」
 ヒュームの言葉に少女はしゅんと俯いた。
「 ……そうだね。わたしはまだ子供なんだし、そんな力があるとも思えない。でもそれは理由にならないよ。何もしないうちから諦めるのはよくないと思う。ヒュームはわたしにそれを言いたかったんでしょ?何かさせたくてここに来させたんじゃないの?! 」
 少女は感情を抑えられなかった。今までの想いが爆発させたかのように溢れ出した。
これが少女の本来の姿なのだろうと思った。物事をまっすぐに見据える赤い瞳に飲み込まれそうな感じさえしていた。
「 ……そうだね。でも君はもうここでやることなんてないよ。気付いているかい?
君がここに来てから周りの雰囲気が変わったことに。大地が次第に騒がしくなってきている 」
「 え…・・・? 」
 ヒュームに言われて少女は改めて周囲を見回した。少女が気を失う前と違った心地よい風が吹いていた。
木々も風に誘われるようにざわついていた。
「 君の役目はもう終わったよ。そして君の居場所はここじゃないー 」
「 …… 」
 少女は沈黙した。肌にあたる心地よい風は懐かしい気がしているものの、自分はここにいてはいけないような気がしていた。
「 さぁ、君は戻るんだ。魔界の大地が君を呼んでるよ 」
途端ベガヴァーチェの身体が青白く光りを放つ。ヒュームが呪文を唱えているようだった。
「 ヒュームは?!戻らないの?! 」
「 僕の居場所はここだから。それに、戻っても僕は炬魏様に殺されるだけだよ。命令に逆らったからね。さようなら、ベガ 」
 別れを告げたその顔はいつもの人懐こい笑顔をしていた。
次第に楽園は消え去っていき少女は上空へと飛ばされていた。少女はとっさに二枚の翼を広げ、辺りを見回した。だが楽園は完全に見えなくなっており風が少女の周りを囲んでいた。
「 ヒューム!! 」
 ヒュームとの突然な別れに少女は戸惑いを隠せなかった。
だが自分は前を向かなきゃいけない。
 
 自分は悪魔だ。自分の帰るべき場所は楽園ではない。荒地が続く大地だ。そこで生まれ育ち、今まで生きてきたのだから。居場所がないのなら自分で作る。そう、少女は心に固く誓ったのだった。
 
 少女は二枚の美しい黒い翼を羽ばたかせていた。まだ翼を使うことに慣れていないせいかバランスがうまく取れていない。目的地に近付くにつれ飛行に自信を持てたかのように飛んでいた。
空に浮かぶ黒い翼は幼いながらもまさしく悪魔の姿であった。
少女が大地を見下ろすといつもの光景がそこにはあった。動かなくなった塊の残骸が転がっている。
そしてそれに群がる鳥達。それから掃除屋と呼ばれている者たちがいた。
悪魔は欲求に従順だ。この行為に自分は納得はいかないが、ある意味わかりやすいのかもしれないと少女は思った。

 ふと少女の身体は一か所に留まる。荒地だった大地はいつの間にか石垣に変わっていた。
品のよい外壁に囲まれた建物。その周りはこれまで少女が見てきた土壌とは違っていた。
植物が育ちそうな生きている土。誰かが手入れしているようだった。そしてその場所にいたのは一人の青髪の青年だった。少女はその青年の元へと降り立った。
「 おかえり、ベガ。戻ってくると思ったよ 」
 少女に言葉をかけたのは少女の兄、炬魏だった。少女を笑顔で迎えていた。
「 わたしの帰る場所はここだから。そうでしょ?炬魏 」
「 もちろんだよ、ベガ 」
 炬魏は少女の答えに満足そうに笑みを浮かべる。
「 王がお待ちだ。ベガに会えることを心待ちにしておられる 」
 王という言葉に緊張が走った。バルベリトに捕われる以前は王の元にいたが、やはり自分の父といえど緊張するものだった。
だがそんな緊張を振り払って少女は颯爽と城の中へと入って行った。
案内された先は王のプライベートルームだった。部屋は殺伐としており、無駄なものは一切ない。バルベリトの城とは違って異臭は全くなかった。
ベガヴァーチェは恭しく頭を下げた。
「 戻りました、王 」
 王と呼ばれた人物は黒とも銀ともいえる長い髪をしており、少女と同じ赤い瞳を持っていた。
王は椅子に座ったまま少女を見ている。そして口を開いた。
「 ベガ、お前は覚醒した。これからは煉樺と名乗れ 」
「 どうして? 」
 炬魏はくすりと笑った。
「 相変わらず王は言葉が足りなくていらっしゃる 」
 王は訂正したように言いなおした。
「 お前は喋りすぎるようだな、炬魏。覚醒後は名前を改名するという掟だ。なぜかは自分で考えることだな 」
「 ?? 」
 煉樺は王の言っている意味がいまいちよくわからなかった。だが王の言うことは絶対だ。
「 これから城に閉じこもってる日々はなくなる。覚悟しておけ 」
 煉樺は王の意図を察した。自分としても城に留まる気はなかった。絶対とされる王の命令。
これからどんな命令が下されるのかわからないが、今はもう恐れるものはないような気さえしていた。
いや、なんとかなる。そんな漠然とした思いがしていた。
あの楽園での出来事は夢のように思う。でも夢じゃない。何か大事なものを忘れているような気さえする。
それが何なのか少女にはわからなかった。でもなぜだか希望が持てるのはどうしてなんだろう?
 
 煉樺は希望に満ちた憂い顔で空を仰いだー
再び出会うこととなろう夢に出てきた少年の声に想いを馳せながら・・・
 
ohne sein Empfindung -想い- 完
 






ohne sein Empfindung -想い- 第12話

Posted by チカ on 05.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   0 comments

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第12話
-覚醒-

 

来る・・・。あの少女は帰ってくる。


ヒュームはそう思った。なぜそう思ったのかわからない。だが、少女のベガヴァーチェの気配を感じる。少女はバルベリトに殺されたはずなのに。あの少女もまた自分と同じ血が流れているからなのか、それとも魔王の血がそうさせるのかヒュームには分からなかった。

もしかして、生きている・・・??

「 ベガが死ぬわけはない。あれは魔王の子だから。この世界の礎なんだ。知ってるだろう? 」
炬魏はにっこりと笑う。その笑いもまた意味深に感じた。しばらくすると炬魏は部下達がやってきた。選ばれた悪魔しか入れない場所。それがガトリーミルデンのはずだった。だが、炬魏もその部下達も今はいとも簡単にこの場所に来ることが出来ている。それは結界が破られた証拠だった。結界は先ほど来た炬魏によって破られたのだった。

炬魏はバルベリトを王城に連れて行くように部下に命じた。バルベリトは抵抗しようとしたが施された印によってその力は封じられた。
「 無駄だ。施した印は簡単には解けない。まぁ、本来の力が出せられたら俺の部下がやられてしまうからな。先へ行け。俺は他にやることがある 」
部下は了解しましたと恭しく頭を下げ先に空へと飛び立った。

炬魏は一瞬ヒュームに視線を送った。そして優雅に翼を広げ去って行った。

 

*

 

「 ここは・・・・・? 」
先程の洞窟のような冷ややかな暗闇の空間と打って変わってどこかの部屋の中の様だった。
少年と少女はあまりにも急激な出来事に自分達に何が起こっているかまったく解らずまわりを見渡した。
その部屋は見上げる程の高い天井に、八面にある壁には鶸色(ひわいろ)の本棚がそびえ立ち、中には数々の見たこともない難しそうな本がずらりと列べてあった。そこはまるで図書館のようだった。

本棚の所々には木製のドアがついてあり、そのドアから出入りは一見困難なそうでドアが何のためにあるのかわからなかった。部屋の宙には色とりどりの大小様々な丸い玉が無数に浮いていてキラキラと光っている。その様子は、例えるなら宇宙を明るくした様で差し詰めその球体は恒星と言ったところだろう。

 この不思議な部屋の中にいる同じ年頃の少年と少女はお互い初対面なのに、どこかそんな気がしない不思議な感覚に戸惑った。
「 君は? 」
「 貴方は? 」
ほぼ同時に言葉が発せられ、更に二人は戸惑った。
「 僕はヨーク・R・アスラエル。君の名は? 」
「 わたしはベガヴァーチェ。貴方天使なの? 」
「 そうだよ。君はもしかして悪魔? 」
「 ええ、そうよ 」
どうして自分達がここにいるのか?
どうしてお互い敵対する種(天使と悪魔)、同士がここに一緒にいるのか?
そして何よりも惹かれ合うの様な感覚が不思議に思った。

「 二人共こちらのドアからどうぞ。リーノ様がお待ちです 」
そんな二人に割って入るように獣人ルジャムの声がした。
ハッとした二人は訳もわからず言われるがまま、ルジャムの案内するドアを開けた。
一瞬フラッシュの様な目を眩むような光が起こり、ドアの向こうが部屋が現れた。
「 あれ?? 」
少年と少女は目を疑った。自分の背後にいたはずのルジャムが部屋の向こうにいる。
今迄居た部屋と全く同じ風景がドアの向こうにも広がっていた。本や本棚、宙に浮いた不思議な球体が全く同じ場所であった。大きく違っていたのは部屋の中央にはリーノの姿があった。

「 私の書斎へようこそ 」
2人の顔見て静かに微笑んだ。
「 貴方はリーノ?! 」

目の前にいるリーノの微笑みを見て、少年は叫んだ。

「 どうやら君達は私と会うべくしてここへ来てしまったようだね 」
「 え? 」
少女は何の事なのか全く理解出来なかった。この人物達はいったい何者なのか、そして自分の身におこった出来事。今の自分の状態。解らないことばかりであった。
「 貴方は何者?わたしはどうしてここにいるのかしら? 」
赤茶色の瞳を輝かせ、目の前にいるリーノに問いた。それは幼いながらもれっきとした”悪魔”の表情だった。
「 私はリーノ・マハータ、君は”ある人”から君を助けるようにと頼まれたんだよ・・・・ 」
少女はキョトンとした。
「 ある人・・・?それは誰なの? 」
「 それは今は言えない 」
「 ・・・・・ 」
少女はこの世界へ来る前に自分がどういう状況だったか考えた。
自分の素性、悪魔界での出来事、徐々に思い出し、少女は急にハッとした。
「 わたし、死んだのだわ!違う!殺されたんだわ! 」
少女はその惨虐的な出来事を生々しく思い出し身をすくめた。自分は常に追われ、そして楽園を目指し力を得たためにバルベルトに殺されたことを。
「 だからここへ来たのね 」

悪魔が死んだらどうなるのか、少女は考えもしなかった。ただ動かなくなった塊だけがあの場所に留まり餌となる。そして分離された意識はどこかへ行くことができるのか?

生きることを決意した少女だったが、あの時はもう死んでもいいとさえ思っていた。

そして自分はここにいる。少女はこの場所に自分がいることを理解した。

「 そうだね。でも少し違う、、、君は生きているよ!いや、生き返ったんだ。そして元の世界へ戻らなければならない 」
そう言うとリーノはにっこり笑って手に持っていた小さな小瓶の蓋をあけ、少女の頭に1滴振り掛けた。
「 え?!何?! 」
その一滴は、水面に波紋が広がる様に少女の身体に広がった。少女の身体が気体(空気)の様な透明になり始めた。
「 君は元の世界へ戻らなければならない。ここの世界での記憶はこの”浄化の雫”によって消しさせられる。君はここで新たな”力”を得た。その”力”は君を助け、導くだろう。そして己の”運命”を知ることになる。またその時、私と会おう。さようなら、すみれ色の髪の少女・・・・ 」
リーノの最後の方の言葉は聞き取れなかった。名前の様な言葉にも聞き取れた。
少女の身体は水分が蒸発するように消えていこうとした。
「 キャー 」
声だけがかすかに部屋の中に残り少女の姿は消えていった。

 

*

 

っ?!

ヒュームは一つの気配を感じた。それは自分と同じ血が流れている気配だった。
だが、今までとは少し様子が違う。先ほど覚醒した力と別の力を感じていた。

その力は温かい光も帯びているように感じる。ヒュームはその光を静かに受け止めていた。

自分が導かなくともこちらへ戻ってくる気がした。その光を導くようにヒュームは思念を飛ばす。それは拒否を表した思念だった。
だが意思の強い想いに跳ね返されてしまったのだった。
そして光が消え、現れたのは今までこの場所にいた少女ベガヴァーチェだった。


 

ohne sein Empfindung -想い- 第11話

Posted by チカ on 01.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   4 comments

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第11話
-少年-


「 どうやら封印が解けてしまったみたいだね 」
一瞬の光と共に銀髪の美しい姿が現れた。
「 リーノ・マハータ様!!!やっと来てくれた~~>< 」
リーノ・マハータと呼ばれた人物は天使とも悪魔とも違う雰囲気を持っていた。
神々しい光を持っており、彼が来て周りは優しい雰囲気に包まれたようだった。この暗闇の中ではその神々しさはより一層引き立っていた。
そしてこの場所の住人であり違和感なくそこに立っている。
「 ごめん!ちょっと、話が長引いちゃってね~。久しぶりだね 」
半透明の少年にリーノは言った。
「・・・・・」
半透明の少年は意識を失った小さなベガヴァーチェを大事そうに抱きかかえて立ち上がった。
少年の身体は半透明なので少女は浮いているようにも見える。なんとも不思議な光景だ。
「 と言ってもその姿で会うのは遠い未来だけどね・・・・どうやら異世界からここでの君の身体を媒体にアニマ(霊魂)を飛ばしてきているようだね、ここでの君は封印が解けてはいるが、まだ覚醒はしていない。だから君がここへこれたみたいだ 」
「 お願いです!リーノ様!どうかこの少女を救ってやって下さい。貴方ならそれが出来るはずです! 」
少年は長く語っている暇が無いかのように率直に用件だけ伝えた。
「 そうか、、、この少女は・・・!君の・・・ 」
リーノは瞬時に少女の状況を察した。
「 そうです。貴方の思われているとおりです。今の僕にはここにいられる時間はあと僅か。
あの身体が完全に目覚めたらここにはいられません。どうかよろしくお願いします。彼女を救って下さい 」
台座に横たわっている少年を指し悲しげにリーノに訴えた。
リーノと半透明の少年の間では暗黙の了解という感じであった。
「 わかったよ。ツバサ 」
リーノは軽くうなづくと、少年は安心したように微笑み暗い闇へ消えていった。
支えが無くなった小さな少女はフワッと浮かせ、地面へ倒れ込む。
獣人は慌ててそれを受け取るように抱きかかえた。
「 完全に封印がとけてしまったようだ 」
それは”ツバサ”と呼ばれた少年が消えた事が物語っていた。
リーノはそう言いながら、左手を漆黒の闇空に掲げた。
掲げた手元からバチバチと弾けるような強い白い光が発生し、その中から一冊の小さな本を取り出した。まるで別の空間から取り出したようにも見えた。
取り出した本を開けると、なにも書いてなく全てのページは真っ白だった。
そしてもう一方の手の指に集中させ術のようなモノを唱え始めた。指先からは青いオーラのような光がゆらゆらと揺らめきはじめた。

リーノは少年が横たわる台座に近づいていった。
少年は自分の置かれている状況がまったく解らず、封印は解けてはいるが朦朧(もうろう)としていた。
だが自分に近づいて来た人物リーノの姿に気がついた。
「 貴方は・・・・リーノ様?! 」
少年は言葉を発すると同時に、リーノの青いオーラをまとった手が少年の腹部を貫いた。
「 うあああああああああああああああ!!!! 」
腹部からは青白い電撃の様な光が立ちこめていた。少年は断末魔の叫びの様に苦しみの声が大きく反響した。
しばらく経つと、リーノが掲げていた空白の本にところどころに文字の様なものが浮かび上がってきた。それは恐らく”秘密の書”の内容一部である。
しかし、ある程度までいくとそれ以上は浮かび上がらなくなってきた。
「 う!だめだ!完全には念写出来ない!少年が死んでしまう 」
リーノは手を緩めた。
「 少年の母からの体内からの念通力がこれほどのものとは!血の封印というべきか?母の愛なのか?まったく素晴らしいものだ!まっ仕方ない、これを完全念写してしまえば、少年の魂も抜かれてしまう可能性もある 」
そして先程まで空白だった本を確認するかの様にパラパラとめくり、次の作業をし始めた。
今度は本の文字を指でたどり、文字を浮かび上がらせた。
本に念写したところどころの文字は漆黒の天上に円を描くように宙を舞っていた。
「 ルジャム!少女をしっかり抱きかかえるんだ! 」
「わかりました!リーノ様!」
リーノは宙に浮かんだ文字を指先で操り、唱えながら少女の方へ飛ばした。
「 さあ少女よ!君の目覚めの時がきた!君の能力の源となり意識を覚醒させるのだ! 」
竜巻の様な風と光を放ち文字は瞬く間に少女の胸の中へ入り込んだ。
文字が全て入り込むと、少女から「ドクンッ」と鼓動がし、眩しい程の光が一瞬光り放った。
それは、彼女の中の暗い闇を打ち消すような光だった。

「 わたし!今まで何をしていたのかしら? 」
ベガヴァーチェは意識を取り戻した。先程までの無表情な顔つきとはうって変わって、目にも活気が出ていた。
「 まるで暗い闇をずっと彷徨っていたみたいだったわ 」
ルジャムに抱きかかえられたベガヴァーチェは起き上がりまわりを見渡した。今まで感じていたあの苦痛も消えている。
「 ぅ・・・ 」
少年の方もどうやら目覚めたようだ。
「 ・・・・何だろう、すごくすっきりした気分だ 」
少年は不思議な感覚に戸惑っていたが、すぐに身体お起こし少女と同じ様にまわりを見回した。
二人の少年少女の目覚めによって、洞窟の様に暗く暗黒の闇の世界が一変し、明るくどこかの部屋の中みたいな空間が現れた。
「 二人とも目覚めたみたいだね 」
リーノは優しい表情で2人を見つめた。
「 あああ!よかったですぅ~一時はどうなるかハラハラしてました 」
ルジャムは嬉しさと安堵で涙があふれ顔がぐしゃぐしゃになっていた。

*


楽園に降りる黒い翼。空には風に舞った黒い羽。その姿は悪魔の風貌をしていた。二人の前に現れたのは青い髪青い目を持つ青年だった。聡明な顔つきをしており、彼が視線を送った先は今まで少女が倒れていた場所だった。
「 ヒューム、これは?俺はベガをここに案内しろとは言ったんだが?? 」
「 フュアウェイ、いや炬魏が何故ここに?!ヒューム、どういうことだ?! 」
バルベリトはヒュームに向かって叫んだ。ガトリーミルデンに現れた青年は王の息子。そして消え去ったベガヴァーチェの兄だった。
青年の思わぬ出現に愕きを隠せない。
「 ベガヴァーチェは消え去りました。どこに行ったのかは僕には・・・ 」
っ!!ぐはっ!
炬魏はヒュームの鳩尾(みぞおち)を蹴飛ばした。ヒュームは勢いよく飛ばされた。
「 単なるなり上がりが俺の命令を聞けなかったというのか?消えたとはどういうことだ??それにこの塵は。復讐心でも沸いたということか??では俺も殺してみるかー? 」
「 っ?! 」
炬魏は同じ場所を何度も蹴り倒す。ヒュームの身体に激痛が走った。力は加減しているものの魔王の息子の力は伊達ではなかった。
「 どういうことだ?!炬魏っ!! 」
バルベリトは痺れを切らし炬魏に問う。
「 自分で考えようとはしないのか?バルベリトがここにいる理由、そして俺がここにいる理由、それからそれを煽動したヒューム 」
「 まさか・・・ 」
「 ベガの出生の秘密を知ったんじゃないのか?だからここにいる。ヒュームは俺がバルベリトのところに送り込んだ。ベガの力の覚醒は王も望んでおられたから 」
「 っ?!あの書物はお前がっ!!」
「 書記官として携わってるお前があの本を見つけるのは容易なこと。だから王に頼まれて禁呪をかけておいた。が、バルベリトには効かなかったようだな。さすが大悪魔、王の右腕 」
炬魏は笑みを浮かべた。バルベリトは顔を顰(しか)めた。そんな彼を一瞥し左腕を掴みとった。そして言葉を発した。その言葉は二人には理解できない。すると赤い炎が立ち上った。悲鳴を上げるバルベリト。腕には蟲と蛇が交差する印が付けられていた。
「 ベルゼブルが・・・、知っていた?!では貴様は俺を捉えにっ 」
「 当然だろう。王にベガを託されたといっても道具として扱っていいわけじゃない。お前の思惑など、王はお見通しだよ 」
炬魏は笑顔を絶やさない。苦しんだ顔この愚かな王の側近に情けをかける心などこの青年にはない。
「 っ!知った上で俺を泳がせていたというわけか?! 」
悶えながらバルベリトは声を張り上げた。自分より力がないこの青年に何がわかるというのだ。青年に鋭い眼光を放っていた。
「 ベガの力を解放して気が済んだんじゃないのか?あいつはここにはいない。力の解放で魂がどこかへ消えている。ヒューム、必ずベガを連れて帰れ。お前なら追えるんじゃないのか?ガトリーミルデンの生き残りのお前ならな 」
「 ・・・ 」
ヒュームは鋭い眼光を受け一瞬怯んだ。爽やかな笑顔もいつの間にか消えていた。


ohne sein Empfindung -想い- 第10話

Posted by チカ on 28.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   6 comments
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第10話
-必然-

 朱色の空から堕ちて行く少女を青年はただ静かに眺めていた。光に包まれていた少女は今はもうその光さえ失われている。
表面上の変化はなく、ただ苦痛に満ちた顔つきに涙を流した跡が見られた。
「……」
「よくやったな、ヒューム」
 バルベリトはヒュームに言葉をかける。ヒュームはベガヴァーチェを見つめていた。
「別に……、あんたのためじゃない。僕はお前の部下じゃない。僕には僕の都合がある。結局それも無駄になったけど。ベガさえ気づいてくれれば僕は止めたのにね」
「ふははははっ! 止める? あの蟲に捉われさえしなければ、毒にやられ一時的に悪魔の力も強まることはなかった。お前があのまま少女を助けていればな。同族殺しはあの少女にとっては耐え難い罪悪感にかられる。そしてこの獣だ。珍しい生き物だから捕えておいたが役にたったな。王の娘に復讐か。それもいい。ふはははっ!!」
 男は高らかに声を上げさも滑稽そうに笑った。
「……」

 蟲に胸を貫かれた少女の意識は遠のいていったー。何も思わない。何も感じない。
 自分は悪魔なのだから。そう、悪魔のはずなんだ。なのに何故ー。
 何故こんなにも苦しいのだろう。何故こんなにも悲しいのだろうか。
 自分には感情がないはずなのに。弱者を喰い力を獲る。力が欲しくなかったわけじゃない。
 いや、欲しかったはずだ。誰でもいいから与えてほしかった。しかし、こんな形を望んでいたわけではなかった。
 ただ自分の居場所が欲しかっただけ……。

『  』

 暗闇の中で声が聞こえた。これは以前にも聞いた声だったような気がした。
今まで見ていた少年(ヒューム)とは明らかに違う声。自分を待っている。
でも自分はもうー、動けない。

『  』

 声は更に大きくなる。呼んでいる、自分を。
行かなきゃ。

どこへー?

わからない。わからないけど、行かなきゃ。

 バルベリトは少女の腹部に手をあてた。手が青白く光りだし、少女の腹部に入っていった。少女の顔はみるみるうちに青ざめていく。身体は冷たくなり、その顔は死を意味していた。
途端身体は再び光りを帯びた!その光は少女を包み込み大きくなる。
そして一瞬にして消え去ったのだった。
「なんだとっ?! これはどういうことだっ!!」
 バルベリトは目を見開いた。隣にいたヒュームは眺めているだけだった。

*

 少女が飛ばされた場所は暗く洞窟のような冷たい空間だった。
出入り口がいったいどこなのか、この空間は外部とはどうつながっているかわからなく、あたりは深い闇で覆われていた。
その場所には少年が横たわっていた。意識がなく深い眠りに落ちているようだ。

 青紫色に包まれていた少女の身体は輝きをなくし、横たわっている少年の上ににふわっと倒れ込んだ。その少女は気を失っているようでピクリとも動かなかった。そして少年も眠りに落ちたまま目覚めない。
頭の中で大きな奇声が聞こえた。そして少女は意識を取り戻した。
「ぅ……。……ここはどこ? ……どうしてわたしはここに?」
 ベガヴァーチェは身体を起こし、驚くわけでもなく無表情にあたりを見回しながら言った。
自分が先ほどいた場所とはいかにも違う雰囲気。楽園とも違っていた。
「あああああ!! 喋った~~~!!」
 そう奇声を放った声の主は闇に溶け込むような漆黒の髪と褐色の肌、光る黄金色のあどけない瞳は闇色をしていた。しかしよく見ると黒く長い尻尾があり”獣人”と言ったところである。
どうやらこの横たわっている少年の知り合いらしかった。明るい声に人懐こい顔。自分がいた魔界でこんな人物はみたことがなかった。少女は目の前にいる獣人を真っすぐ見据えた。
「おまえ、うるさい……・」
 少女は言い放つ。目覚めたばかりの頭に響く声であったため機嫌が悪くなる。
「ハ、ハイ……」
 獣人は少女に圧倒されてしまった。
そして黙って、まじまじとその少女を見た。
「君……、誰? もしかして……悪魔か?」
「……」
「悪魔がどうしてここへ?!」
「……おまえこそ魔族なんでしょ」
「そうだけどね……」
 ビクッとして即答した。
獣人の答えに間髪入れずに少女は自分の下で横たわっている少年の事を聞いた。
「……この子は何故起き上がらないの?」
 少女はきょろきょろとあたりを見回し、自分の置かれた状態を不思議に思った。
「……うーん」
 獣人はどう答えていいか解らず答えを濁した。
少女は少年が横たわっている台からヒョイっと飛び降りた。
そして、少年の方を改めて見た。翡翠色をした柔かそうな猫っ毛に綺麗な顔立ち。その少年は自分とは違う異種族の雰囲気を持っていた。悪魔や人間ではない、この少年は天使だ。そう思った瞬間、ふと今までにない感覚を感じた。
「何? この感覚! ……懐かしいような、不思議な気持ち……」
 無表情だった少女の顔が一気に動揺しはじめた。まるで以前に会ったような気さえしていた。
自分は誰かに呼ばれてここに来たはずだ。そして目の前にいる少年。これはー
「この子……、初めてなのに……何故かしら?! もしかして…………ぅ!!!あああああ!」
 少女が何かを言い出そうとした途端、急に苦しみだした。
「ええ?!」
 獣人は目の前の出来事がますます訳がわからず驚くしかなかった。
「ぅああああああああああああ」
 少女は頭を抱え苦しそうに叫んでいた。
(何ー? これはー?! 苦しい!!)
「どうしたの? 大丈夫?!」
 苦しむ少女に介抱しようと近づいた。
「うわ!」
 しかし、何かに撥ね付けられるように弾け飛ばされた。
よく見ると、少女には白い光が覆われていた。
それは少女を優しく包むように覆い被さる半透明の少年の姿だった。
少女はその少年に包まれると今までの苦しみがうその様に解放され、すーっと穏やかな表情にもどり、意識が遠のいていった。
獣人は一瞬目を疑った。
その半透明な少年は、台座に横たわる少年とうり二つ、いや正確に言えば少年をもう少し成長させた姿だったのだ。


ohne sein Empfindung -想い- 第9話

Posted by チカ on 26.2010 *Roman(小説)* -煉樺-   8 comments
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第9話
-執着-

 ベガヴァーチェは歩き続けていた。
ヒュームと共に歩いているものの、自分はまるで暗闇の中を歩いているような感覚にも陥っていた。
そして歩くたびに痛みが増してくる。足にはまめができており、つぶれて血が滲んでいた。
自分の翼が使えたらどれだけ楽だったのだろう。だがそれは考えるだけ無駄な話だった。
隣には魔獣が寄り添うようについて歩いている。獣は何かに気付いたのか歩みを止めた。何かに誘われるように集まってきた蟲達。透明だったはずの羽は緑色に光りだしている。そしてその蟲達は少女の周りを囲んでいた。少女の体は固まった。
「何、これ……? なんで蟲が!?」
 蟲達は以前見た種類の蟲と同じ物だった。自分の心を狙って集まってきたのだろうか?
蟲は刺激を求めてやってくると言った。自分にも心があると言った彼はここにはいない。
少女は持っていたナイフを振りかざす。が、そんなものは無意味だった。
少女の手に持っていたナイフも蟲達によって粉になっていく。ベガヴァーチェは地面を蹴って駈け出した。蟲は少女を追いかけ周りを囲った。少女が足につけているアンクレットが光りだし、そして更に蟲達の羽の輝きが深い緑色に増す。獣が体当たりしようとしたが、みるみるうちに緑の光に覆われていった。
「っ?!」
 逃げられないっ!!そう、少女は思った。
緑色を放つ蟲達は次々と襲いかかった。少女の胸は貫かれていった。
「きゃあぁあああああー!!」
 深々とする森の中で少女の悲鳴だけが響き渡ったのだったー。

*

「……??」
 少女は目を覚ました。眠っていたのか、気付くとさっきまでいた場所とは風景が違っていた。
周りは木で囲まれていて、水があり老朽化した建物がある。風が心地よく吹いており木々の葉が散っていく。だが、こんな場所でも人の気配を感じない。むしろ静まり返っていた。
少女は自分が置かれた状況に理解できないでいた。
自分は蟲に毒されたはずだった。しかし体には外傷はなく痛みも感じない。
「起きたのかい?」
「ヒューム……? ここは、どこ……??」
 それまでいなかった彼も今は少女の顔を見つめている。
「アハハっ。そんな記憶喪失みたいなこと言わないでよ~」
 見覚えのあるようなないような、だけど懐かしい……。一体ここはどこなのだろうか。
少女の頬に雫がつたう。ベガヴァーチェはわけがわからなかった。
「君はもう、気付いてるんじゃないの??」
 気づいて……??
「ガトリーミルデン。それがここの場所の名前。おめでとう~」
 ここ……が?? 誰もいない。まるで絵本の中のような感じ。そして……。
「僕の案内もここまでだね。君もここでおしまい」
「どういう……こと?」
「いやだな。まだ気づかなかったなんて。夢で何度も見てたんじゃないのかい?」
 夢……。夢とはどんな夢だっただろうか。そして自分はどうやってここまで来たのか覚えがない。
覚えているとしたら毎日繰り返し見ている夢に出てくる少年だ。
もしかしてここも夢なんだろうか。そんなことを思っていた。
ひょっとしてこの男が自分を連れてきてくれたのだろうか。
「そうだね。僕がここまで連れてきた。あの蟲達を振り切って。ガトリーミルデンはここにあってここにないもの。翼があるから来れるというわけじゃない。楽園なんて呼ばれてるから同族に狙われる。いや、同族だけじゃないけどね」
 ヒュームは懐かしそうに寂しそうに語り始めた。
「ここには人が住んでいた。役目を終えた悪魔達が。選ばれた者しか来れない楽園とはそういう意味があったんだよ。でもある日、黒銀の髪を持つ孤高の悪魔がやってきた。そしてこの楽園を焼き払った。楽園にいた一族は死んだよ」
「それってー」
 少女は一人の人物が思い当った。魔界を統べる王、自分の父のことではないのか。
「そう、君の父ベルゼブルだった。でも生き残りが数名いたんだ。だけど僕の腹違いの姉ベアトリーチェは連れさらわれ魔王の花嫁となってた。悪魔や天使にはない力を持っていたからね。そして君を生んで死んだ。残された僕は裏切り者の弟としてここにいたってわけ。少年だった僕は毎日苛められていたよ」
「……っ」
「君は見ていただけなんだ。ずっと。そうやって感情を殺して。自分を悲劇のヒロインにして、何も知ろうとしなかった。僕はずっと呼びかけていたのにね。何も出来ないと諦めて。何も気付いてもくれなかった。ここはいわば君の故郷、ここにくれば心を戻してこの楽園も元の綺麗な場所に戻してくれると思ったけど、どうやら無駄だったようだね」
 ヒュームは淡々と喋り続けた。少女を責めるような顔でみながら。
「わたしは……、何も出来ない。わたしの居場所はここでもないー?」
 やっと辿り着いた楽園さえ自分の居場所ではなかった。それなのにこんなにも懐かしいのになぜなんだろう。
そしてこの男はそれよりも楽園を滅ぼした王の娘の自分に何を期待するのか。
「……もう、いいよ。君も所詮あの残虐な王の娘だ。何も出来やしない。僕も期待しない」
 そう言い放つと男は指を鳴らした。すると少女の体から大量の蟲が現れ出した。
痛みはなかったが気が遠くなり始めた。そしてまた意識を失ったのだった。

*

 頭の奥で高らかに笑う声が聞こえる。血を求める同族達の声。
同族の塊。大量に湧いて出てきた蟲達の屍骸。
 あの笑い声には聞き覚えがある。そしてあの菫色の髪をした小さな姿。自分の身体は熱っぽく気だるい感じがしたが、歓んでいる。
そう、何故だかわからないが歓びを感じていた。生ぬるい温もりを肌で感じ、何かが煮えたぎっている。
違う―。そんなはずはない。
そして……、少女は目を疑った。蟲達の死骸の上には獣の塊があった。

 っ!!
「ああ、ようやく目を覚ましたようだね。それにしても良く寝る子だなぁ」
 ヒュームはベガヴァーチェを見下ろした。何が起こったのかわからなかった。ヒュームの話を聞いた後再び蟲に毒されてー。少女は辺りを見回した。そして驚愕した。今自分が夢で見ていた光景あった。
「どうして……っ。どうしてっ!!」
 少女は小さな両手でヒュームの胸倉に掴みかかった。

「すべてお前がしたことだ」
 聞き覚えのある声に少女は身体を震わせる。
「バルベリト……」
 追いついてきた。やはり追いつかれていたのだ。狙われているとはわかってはいたものの、いざ目の前にすると愕然とする。バルベリト自らここまでくるとは。
「お前がこの惨状をもたらした。」
 自分がやった……? そんなものは信じない。バルベリトがやったのではないのか。
 わざわざここまできて自分をまた捉えるために。
「信じられない……か? ではなぜお前のその手は血で塗れている? その身体に飛び散った血は。傷で身体が痛むか。あれらを相手にしたときの快感はなかった……か?」
 男に言われ、ベガヴァーチェは両手に目をやった。そう、同族たちの血で穢れている。
少女は被りを振った。
「ちがうっ! そんなものっ、そんなものっ!!」

あの高らかに笑っていた声、あれは確かに自分のものだった。愉しんでいた?

-違うっ!!

好意を寄せていた獣まで殺して、やはり殺戮を楽しむ悪魔……

-違うっ、違うっ!!

この屍の温もりもまた暖かく血が煮えたぎる

やめてぇーーーーーーーーー!! わたしは何もやってないっ! 何も望んでないっ!!

「だが、お前がこの惨状をもたらしたことには変わりない」

-っ!! いやぁあああああああぁぁぁぁぁ!!

 途端ベガヴァーチェの体は光り出した。体から放出された光は炎へと変わる。
少女の体は炎に包まれ黒い翼も光っていた。そして空へ飛び立ち、その光はバルベリトを狙っていた。
「ふん。たかだかこんなことで開花できようとは。まぁ、いい。これでこの世界は俺のものだ。ふふふ。あははははっ!!」
 バルベリトは手を翳(かざ)した。手に集まった光は少女へと向けられた。
彼を襲った光は少女へと跳ね返り、少女は暗い闇へ堕ちていったのだったー。


  

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